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昼下がり、ローマの恋 ◆ Manuale d'am3re [いんぷれっしょん]

昼下がりローマの恋.JPG生まれてから半世紀ほど過ぎると、世間的には所謂熟年あるいは中高年などとくくられるようになってくる。社会的にはそこそこ責任ある立場に置かれ、 山のような仕事に追われる毎日、身の回りにおいては、夫婦間には微妙なすきま風が吹いたり、子供がいれば進学や就職の心配などする時期かもしれない。日々伝わる国内外の情勢などにもほどほど精通し、頼りない政府に憤ったり、一向に回復しない景気の動向や、社会常識に欠ける若者への憂いを抱いたり、そして最も気になるのは、間近に迫る老後に向けた我が身の行く末だろうか? つまるところ、あれこれ心配事や解決が迫られる目前の課題なども多く、結構忙しい毎日なのである。

だから、男女の色恋ごとなどにはうつつを抜かしている場合ではなく、けだるい午後に繰り広げられるメロドラマの世界などは、およそ縁がないだろうというのが、ニッポンの正しきオヤジの姿と固く信じて疑わなかった。まあ、その辺の心根には、要するに恋は素敵だが、既にそこの当事者たれない立場に追いやられて久しくなった悔しさとやっかみが多分に含まれているのはご推察の通りなのだが・・ そんなオヤジがちらりと目にした予告編、名優デ・ニーロとイタリアの宝石モニカ・ベルッチの共演という売りに目がくらみ、劇場へと向かうことに相成った。

「イタリア的、恋愛マニュアル」から続くシリーズものの第三作だそうで、そのあたりの事情もまったく知らず。おまけに、3話のオムニバ スだったことも、始まってから気づいた。よくあるパターンとはいえ、今回も告知に騙されデ・ニーロとべルッチ主演の長編と思いこんでいた。第1話「青年の恋」、第2話「中年の恋」、第3話「熟年の恋」、yahooやGoogleで翻訳しても埒があかないが、原題「Manuale d'am3re」も、この三話で作られているよといったことを意味しているのだろう。

 さてその内容はというと、第一話目は、結婚間近の若い弁護士が、仕事で訪れたトスカーナでやんちゃな美女と出会い、あっという間に燃え上がってしまうという、いかにもイタリア的なお話。ミコルという人妻を演じたラウラ・キアッティという女優が、やたらに色っぽく且つチャーミングで、陽光降り注ぐトスカーナの町並みや自然の風景とマッチして、とても目の保養になった。

第二話目、人気テレビキャスターである中年オヤジが、イカれた美女の誘惑に乗って手ひどい目に遭うという、これが一番コメディだったな。キャスター、ファビオ役のカルロ・ヴェルドーネというおっさん役者の困惑ぶりがやたらに可笑しく、しゃべりながら繰り出すイタリア人独特(詳しくは知らないが多分そうなのだ)のフィンガーアクションが笑える。 しかし、情事の模様を隠し撮りされ、ネットに流すぞという脅迫は確かに怖い・・・ご同輩諸氏で渦中にいらっしゃる方はお気をつけをと申し上げておこう。

そして、件の名優と宝石が共演するのが第三話、大病を克服した歴史学者であるデ・ニーロが、親友の娘と恋に落ちるという羨むべきお話。そのお相手がベルッチという訳だ。父娘ほどの年の差を超えて、絶世の美女をモノにする役には名優も楽しそうで、力の入らない演技にもそれなりに好感が持てる。宝石美女については相変わらずで、女優として演ずるところについて、コメントすべき点は無く、相変わらずお綺麗ですね・・とだけ申し上げておこう。実年齢より随分若い役柄だが、それを感じさせない美貌と妖艶さには舌を巻くが、男性には当然期待されるシーン、今回はちらっとだけなのでややがっかり。

三話ともヒジョーに魅力的な女性が登場し男を虜にするのだが、その女達がそれぞれ秘密を持っていて、それが明かされることで話が転がっていくというシンプルな構成、大したひねりもないので、あっという間に結末を迎えるところも有閑昼下がりの時間潰しにはもってこい・・。主役の男達と我が身を重ねるか、あるいは傍観者として笑い飛ばすかはそれぞれご自由。全体の流れからは、オヤジが元気になれそうな空気が残るので、恋ゴコロによって分泌されるという脳内快感物質を今一度湧き起こしたいと思える気になったりするかも。でもやはり、これから当分の間近づかないジャンルだろうなぁ~。

2012/4/12 シネマ ジャック&ベティ にて


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