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ウォッチメン ◆ WATCHMEN [いんぷれっしょん]

watchmen.jpg  SF作品は、哲学的なニュアンスを持つものが多いと言われているが、本作もそのSF的シチュエーションの奇抜さの中に、意外な(?)問題意識を与えてくれる作品。 

  原作は1986年〜87年にかけてDCコミックスが出版した、長編のアメコミ映画化作品。しかし、日本人には相当マニアックな方以外には原作をご存じのは方はほとんどいないないだろう。 オープニングからダークで暴力的なトーンの謎だらけの作りで、取っつきにくいが、この独特の世界観に早く入り込んだ者が作品を堪能できるだろう。当時の時代を反映した小ネタも多いので、80's既に大人だった方なら、より楽しめると思う。  

 1980年代、米国はベトナム戦争に勝利し、ニクソンがまだ大統領の座にある。米ソは全面核戦争の瀬戸際にあり、キーン条例なる法により、かつて活躍したスーパーヒーロー達はその活躍の場を奪われている。 普通の常識では理解不能とも思える設定に「?」を点滅させながら、上等とは言えないオノレの脳ミソを回転させていると、やがてブルーに光る肌を持つ、“ファンタスティック”でマッチョな全裸の超人が現れる。なるほど、この男の存在が、ストーリーのキモなのだなとやっと解る寸法だ。 

 ヒーロー集団「ウォッチメン」は6人で構成されるが、このブルーマン、Drマンハッタン以外は、バットマンタイプの普通の人間だ。 それぞれが独特のマスク、コスチュームなどを纏ったヒーロー・ヒロインでありながら、何故そのような人生を選択するとになったのかという背景、また正義に対する物差しがまったく違う。 後に、その差異が物語の核心に繋がることになる。

 冒頭メンバーの一人「コメディアン」が超人的な格闘の末、惨殺される場面からストーリーは始まり、その後メンバーの何人かが、事件の解決に臨みながら、それぞれの生い立ちや、現在の状況説明が平行して延々と語られる。 これが長く、全体の2/3は費やされているのではないだろうか? 長編コミックス映画化の宿命ではあろうが、いささか冗長に思える。 こもあたりで退屈し、引いてしまう方もいるのではないかと思うが、断片的に見せられる情報をつなぎ合わせ、自分の中にイメージを組み立ててゆく作業、私は結構嫌いではない。 楽しめた。  主に活躍する"顔のない男"「ロールシャッハ」が、かっこよすぎる。

 2時間を優に超えた頃から物語は急転回し、意表を突く終盤の謎解きへ・・そして突きつけられる重いテーマ。 正義の本質とは何か? 大儀の前の小事という理屈、そして日本人には、広島・長崎の惨事と、米国の主張する戦争終結論が連想されるかもしれない。

答えのない問いにかけに、葛藤するヒーロー達と共に、観客も同じく悩むことになる。 そして、解説によると、原作とはやや違った設定になっているというエンディングも悪くない。 あなたは、どのヒーローの価値観に共感するのだろう。

at MOVIX橋本


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