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崖っぷちの男 ◆ Man on a Ledge [いんぷれっしょん]

崖っぷちの男.jpg このポスターを見ただけで、高所が苦手な方々はお尻がむず痒くなるかもしれない。主人公のニック・キャシディー(サム・ワーシントン)が、ニューヨークのど真ん中、高層ホテルの窓の外に立って、飛び降り自殺志願の男を演じているシーンなのだ。「なぜここに・・?」その謎解きが、物語のキモなのだが、ここに立つまでの経緯は上映が始まってすぐに解る。

 ニックは収監されていた元警官で、それはどうやら誰かに陥れられたらしい。機を見て脱走した彼は、最後の手段として自らの死により、その無実を世の中に訴える手に出たのでは・・と思わせて、実は別の深い作戦を練っていたのだった・・。さあ、一歩も動くことさえ出来ない状況でどうする、どうする?

 映画のおもしろさは、何たってストーリーの出来次第だよ!とおっしゃる方にはオススメ作品なのだが、感想文書きには、とても扱いにくい作品だ。 というのは、物語の最初に大きな謎が投げかけられ、話の進行に沿う小さなサプライズの積み重ねにより、謎が解き明かされることで、どんどん面白みが増してくるという、非常によく練られた脚本は、この場面がこういう具合に面白かったとか、あっちの意外性が楽しかったとかいう感想を書いてしまうと、楽しみのエッセンスを先にバラしてしまうようなもの。それではこれからご覧になる方にはあまりにも酷。いくらネタバレありと断っていたとて、私の良心が許しません。だから、今回はこれにてオシマイ・・・では、身も蓋も無く書き始めた意味も無いから、もう少し続くのだ。

 見所は随所にある。ニックが呼びつけた、エリザベス・バンクス演ずるニューヨーク市警の女性交渉人マーサー。少し前交渉に失敗したことでマスコミに叩かれ、有名になっている彼女を選んだ理由。脱走したニックがたどり着くある場所と、彼の緻密な計画をサポートし、実行する別働隊である意外なパートナー。MIシリーズのようでありながら、ややゆるいアクション。そして、最後に明らかになるニックを陥れた人物たち。そして何と言っても危機一髪、崖っぷちからの鮮やかな逆転劇等々、ワクワクしながら最後まで楽しめ、何の疑問も持たずに劇場を後に出来る、アメリカ産エンタメの王道作品であるのは断言しよう。(別に私がしなくてもいいのだが)

ここしばらく続いているアメリカ映画の潮流から漏れず、この作品もファミリーの絆というテーマが根底にある。 また、窮地の主人公を図らずも最後に助けることになる、怒り狂う無名の人物の登場などは、アメリカ社会の「今」を写しているとも受け止められ、裏表どこから見てもU.S.Aなのだ。 後日談として語られる酒場シーンでは爽快感を更に深め、さすがスカッと爽やかコーラの母国と妙な納得までもらえるから、二度オイシイとも付け加えよう。

 大作「アバター」「タイタンの戦い」で一躍大スターの座に上った、サム・ワーシントン。過去の作品も含め、好感度高い風貌に加え、所謂ナイスガイな雰囲気を持つ役柄が似合う俳優だ。 また、長編初監督というデンマークの  アスガー・レス監督、良い脚本の助けもあるだろうが、これだけ質の高い作品を見せられると、次回作も楽しみになる。ついでに触れると、弟役のジェイミー・ベルは、ほんの少し前に見た「ジェーン:エア」で、とても堅い男の役を演じていたので、ギャップが凄かった(笑)

なお、原題 「Man on a Ledge」は、男が立つのは崖っぷちではなく、切り立った峰・・の意。崖っぷちだと追い詰められたイメージだから、若干ニュアンスは違うんじゃないかな~?

2012/07/12 MOVIX橋本にて


サム・ワーシントン主演作といえばこれ

アバター [初回生産限定] [DVD]   タイタンの戦い 3D & 2D ブルーレイセット(2枚組) [Blu-ray]


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